A.国際的な動向 

ア.SDGs(エス・ディー・ジーズ))を知っていますか?   

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
(外務省『SDGs(持続可能な開発目標) 持続可能な開発のための2030アジェンダ』)
その中に、『8.働きがいも経済成長も すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する』があります。
そして ターゲットの中には、『(8.5) 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性および女性の、完全かつ生産的な雇用およびディーセント・ワーク、ならびに同一労働同一賃金を達成する。』が含まれています。

 

イ.それが、どうして企業の障害者雇用義務とストレートに結びつくのでしょうか?

2006年、国際が金融業界に対して提唱したものでPRIというものがあります。
PRIとは日本語では責任投資原則と言います(Principles for Responsible Investmentの略です)これは、世界の解決すべき課題を環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの分野(総称してESGと呼ぶ)に整理し、ESGに配慮した責任ある投資を行うことを宣言したものです。
投資家からのESG投資への関心が高まりも踏まえ、1500以上の企業や組織がPRIに署名し、運用対象の資産合計が60兆ドルに達しています。つまり、60兆ドルがESGに配慮した企業に投資していこう、というものです。これは投資家が、短期的な収益だけではなく、中長期的企業価値、つまりSDGsの達成に貢献している企業がESG投資の対象になるという考え方が浸透しつつあるということです。

 

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ノースダコタの石油パイプライン建設に先住民が猛反対

★主要機関投資家100以上がタッグを組んで、お金を貸している銀行に圧力をかけた例      

ダコタ・アクセス・パイプラインとは、全長1886 kmにおよぶ地下石油のためのパイプラインを施設するためのプロジェクトで、オバマ大統領時代に、環境などに対する影響が大きかったため、パイプラインの建設ルート等を見直などの対応をするため一旦停止されていたものです。それを、トランプ大統領が大統領令を使って再開させました。ところが2017年2月16日、森林破壊、河川汚染、土壌汚染、大気汚染、生物多様性破壊の懸念から、主要機関投資家100以上が建設プロジェクトへ融資している世界の銀行17行に対し、プロジェクトへの懸念と懸念に適切に対応すべきとの共同声明を発表しました。その声明を受けて、3月21日にING銀行(オランダ)、3月26日にDNB銀行(ノルウェー)、4月5日にはBNPパリバ証券(フランス)が融資の引き上げを決定しました。その総額は5億7千万ドル、プロジェクト融資全体のおおよそ22.8%にのぼります。
①日本政府はSDGsに対しては?
日本政府も持続可能な開発目標(SDGs)に係る施策を総合的かつ効果的に推進するため、2016年5月に内閣総理大臣を本部長とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置しました。
2016年12月には「持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」ことをビジョンとした「持続可能な開発目標実施指針」が策定されました。
実施指針では、8つの優先課題が定められました。その中の1番目 あらゆる人々の活躍の推進の中に、「障害者の社会参加と自立支援」が入っています。
②日本の機関投資家の動きは?
日本でも世界最大の投資規模であり我々の年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、環境や社会などに配慮した投資を行うことを宣言した国連が定めた責任投資原則であるPRIに2015年9月に署名しました。PRIとはPrinciples for Responsible Investmentの略で、日本語では責任投資原則と言い、世界の解決すべき課題をEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の3つの分野(総称してESGと呼ぶ)に整理し、ESGに配慮した責任ある投資を行うことを宣言したものです。

 

投資家からのESG投資への関心が高まりも踏まえ、世界で1500以上の企業や組織がPRIに署名し、運用対象の資産合計が60兆ドル(約6000兆円)に達しています。つまり、60兆ドルもの資金を環境や社会に配慮した企業に投資していこう、というものです。
日本でも世界の動きに連動し、投資家の視点からもSDGsの達成に貢献していこうとする企業へのESG投資がさらに高まっているため、このような投資家からの働きかけが日本でも今後益々起こってくるだろう、と企業向けのイベントや研修でお伝えしているのですが、まさに現在進行形で起こり始めている事例です。
企業にとってSDGsは待ったなし。
逆にここにこそビジネスの種が埋まっている事例もたくさん出始めています。
こういうわけで、SDGsに盛り込まれている障害者雇用を企業がもう先送りすることはできなくなりつつあるのです!

 

B.社会全体の動向      

少子高齢化による労働人口の減少による人手不足があげられます。
労働力人口は2014年6,587万人から2030年5,683万人、2060年には3,795万人へと加速度的に減少していく(内閣府調査)ことから、障害者など今まで顧みられなかった労働力の掘りおこしが求められます。

C.行政の動向

障害者の雇用の促進等に関する法律の改正
民間企業に義務付けている障害者の法定雇用率を段階的に引き上げ、2018年4月には2.2%になり、対象となる事業主の範囲が、従業員45.5人以上に広がりました。2021年3月末までには2.3%にまで引き上げていく予定です。雇用納付金の徴収は、雇用率に不足する人数1人当たり5万円を収めることになっています。ただし、常用労働者100人超の事業主に対して(常用労働者200人超300人以下の事業主は平成27年6月まで、常用労働者100人超200人以下の事業主は平成27年4月から平成32年3月まで納付金が4万円に減額される)適用されます。
また、精神障害者の雇用義務化もなされました。

D.障害者の動向

障害者の社会参加意識の高まり
障害者の就職件数は、平成20年度の45,565件から平成28年度の93,229件と2倍以上に増加。特に精神障害者とその他の障害者(発達障害者、高次脳機能障害者、難治性疾患患者等)が増えています。
このようなことから、現在、企業は障害者雇用をせまられる状況があります。

★では、障害者雇用のメリットは?

①業務効率改善!

障がい者雇用の価値とは、『業務改善』によるホワイトカラーの生産性向上があげられます。一人が担当する業務の中で基幹業務以外の周辺業務をワークシェアリングにより障がい者にこなしてもらうことにより基幹業務に注力できます。(法政大学眞保智子(しんぼさとこ)教授)

②障害者雇用の経験がメンタルヘルス対策に役立つ!

メンタルヘルス不調により1か月以上継続して仕事を休んだ社員が職場に復帰しているかどうか、復帰した場合に安定的に働き続け られているかどうかを2,000社のデータで分析した結果、障害者を雇用している事業所ではメンタル不調の休職者が職場復帰後に安 定的に働けている割合が高いことが確認されています。
(資料)「精神障害者の雇用に係る企業側の課題とその解決方法に関する研究」(2016年3月:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合セン ター)